JoBridge飯田橋 スタッフの原です。
   
先日、音楽療法の講座を受講して、とても感動しました。
音楽療法とは、音楽の力を使ってコミュニケーションや
癒しを得ようとするものです。
対象者は子どもや病気の人だけでなく、
今日では様々な場面で音楽療法が取り入れられています。  
 
アメリカを中心に、多くの症例の映像を見ました。
家族以外の誰ともコミュニケーションしようとしない
自閉症児が音に誘われてセラピストと交流を始める瞬間や、
昏睡状態にある人が歌声を聴いて反応を示す場面など、
驚異的な効果を目の当たりにしました。    
その中に、就労トレーニングに音楽療法を用いているものがあり、
大変興味深く受け止めました。
対象者はアメリカの元ストリートギャング達で、
性別や人種が様々なグループ(10人くらい)でした。
 
 
 
犯罪行為から足を洗い、まっとうな職に就くための
トレーニングを受けていますが、衝動性が抑えられない、
ルールを守れないなど、社会性の面で課題の多い人たちです。  
彼らに集団行動への動機づけを行うために
音楽療法を取り入れていました。
最初は、集団療法の形式で自由に発言してもらいながら、
彼らの発言した単語やフレーズにセラピストが即興で
メロディーをつけていきます。
 
 
 
曲調はジャズやブルースのような感じでした。
即興で自分の言葉が歌になるのを参加者が楽しめるようになったら、
今度は彼らにそれぞれ楽器を持たせて即興で合奏してもらいます。
 
 
 
最初はぐちゃぐちゃの不協和音ですが、徐々にリズムが生まれたり、
ハーモニーになったりします。次第に、音楽を奏でることが楽しくな
り、互いの音を聴いて、相手のリズムに合わせる、合いの手を入れる、
ハーモニーを保つなどの行動が生まれます。
 
 
 
更に、メンバーの中からリーダーを決めて、
指揮をとらせます。みんな音楽の素人ですが、
指揮に合わせると俄然リズムが揃いやすく、
奏としての一体感が出ます。
 
 
 
それまで、ルールに反抗し、相手を思いやれなかった人たちが、
指揮に従い、音で調和することで社会性を学び始めるのです。    
音楽のセラピー効果にもいろいろあると思いますが、
この講座では即興の重要性を説いていました。
その日、その瞬間のクライエントに合わせるから即興なのだそうです。
 
 
 
そして、セラピストはクライエントの音を「毛穴で聴く」ことを
求められるそうです。耳で音を聴くだけでなく、クライエントの
表情、呼吸、しぐさ、その全てを捉えることで、
彼らの心の奥深くに届く即興音楽ができるのです。
 
 
 
すると、音楽はすんなりと彼らの心に沁み込み、
いとも簡単にその檻の中から外の世界へと誘い出すのです。    
 
 
 
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